茶の湯菓子處「源太萬永堂」は茶席用の上生菓子だけをつくる完全予約制の和菓子司。週替わりで一種類だけ、季節感のある和菓子を丹念につくるスタイルで操業以来もう50年余、遠州流茶道をはじめ多くの茶人に愛されて続けている。
二代目源田恒房さん。2019年に亡くなられた初代(父、萬年さん)の跡を、ひとりで立派に盛り立てている。
源太萬永堂は新宿区百人町にあり、住所も公開されている。お店といっても看板は出ていないので、一般にイメージする菓子店とはだいぶ違っている。玄関を入るとそこが店舗なのだけれど、どこにもお菓子が並んでいるわけではない。そうして店舗でお話を伺っていると、「こんにちは」と言ってお客様が入ってくる。「いらっしゃいませ」と言って白い箱を奥からとってきてお客様に渡す。完全予約制とは、このようなことである。しかも、源太萬永堂の店舗まで取りに行かないと、源太萬永堂のお菓子を口にすることはできない。
菓子のなまえは先代から受け継いだものもあるし、古今和歌集などの言葉から拾ったりして名付けることもある。茶の湯菓子は季節ものなのでだいたい一年間につくるものはきまっている。名づけは結構創作的でおもしろいが、あまりにこりすぎた名前など「みなさんがイメージできなくなる」ので、そこは仰制する。
手亡豆の白あんに米粉等を混ぜ蒸かしたこなし製。北海道十勝産小豆のこしあん入り。山あいの澄んだ清らかな流れのさわやかさをあらわしています。
ギャラリーきほうオリジナル生菓子。ご自宅で私服の一服のおともに。