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為末大さんと考える「スポーツ」×「茶道」

元プロ陸上選手 為末大さん×アスリート茶道家 小堀宗翔さんによるスペシャルトークイベント(前編)

男子400メートルハードルの日本記録を持つ元プロ陸上選手であり現在はsports×Technologyに関するプロジェクトを行う株式会社Deportare Partnersの代表や「アスリートが社会に貢献すること」を目指す一般社団法人アスリートソサエティの代表理事を務める為末大さん

日本を代表する武家茶道「遠州流茶道」を次世代に向けて普及するかたわら元ラクロス日本代表としてワールドカップ出場するなど現在もトップアスリートとして「静と動の融合」を提唱する注目のアスリート茶人小堀宗翔さんによるスペシャルトークイベントが2019年7月20日(土)バーニーズニューヨーク新宿店において行われました。

「スポーツ」と「茶道」

一見共通点のなさそうな2つの要素ですがメンタル面フィジカル面ともに通じることも多く、ビジネスの世界や日常生活にも活かすことができるお話しのやりとりとなりました。

まずは型についてのおはなしを

為末大氏

 けっこうイベントに出ることがあるのですが、お茶とスポーツに関してのお話ははじめてということで(笑)・・・

ある動きを身につけていくということがスポーツは大切になるんですね。簡単にいうとサッカー選手が試合で活躍するためにはドリブルすることを忘れていないと試合にならない。ドリブルすることを考えているようでは試合の方に意識がいかないので。これを言い方を代えるとスポーツ選手にとって型が身についた状態というのは自分の身体が次に何をするのかは意識をしなくてもなにをするかをわかっている状態まで反復を繰り返すという繰り返しの世界なんですね。

スポーツの場合、これはお茶の世界にあるのかはわからないんだけれど、1回覚えたものをレベルが上がってきたときにもうちょっとアップアップデートしたいと思ったときに考えなくても無意識にできるようになったものを一回意識的に改善するんですね。

自転車なんかでいくと乗られる方はペダルの漕ぎ方なんかは考えもしないと思うんですが、今から自転車のトップ選手になろうとするとあらためてペダルの漕ぎ方を考えることになるんです。日本語をしゃべっているのにあらためて日本語を考えるみたいなものなんですが。我々がやっていたものは、みなさんがやっていた歩行と走るということをもう一回頭のなかで意識的に考えてやるという世界ですね。

ただこういうのは、やろうと思ったときにベースになっている型がないとうまくいかないんですよ。なんにも考えなくていいように反復練習をつみ重ねたあとに、ここはこういうふうに変えていくとかとやっていくんです。そういう感じですかねスポーツって。

小堀宗翔

茶道で型というとお点法のことに通じるんではないと思いますが、1から10まで決められた点法や所作を身につけることで型破りという言葉があるように自分が迷ったときに立ち返る場所になるんではないかなと思っています。
スポーツにおいても最初1年生がやるときは素振りを何回かやるというふうにまず自分に、ある基本となる型を覚えこませることでそこに自分のアレンジをすることで自分らしさとあなたらしいプレーとかが生まれてくるもとなるものではないかなと思っています。

「満つれば欠くる」

小堀宗翔

遠州流では「満つれば欠くる」という考え方を大切にしています。

昔14日めのお月さまを愛でるという習慣がございました。十五夜のお月さまというのは満月で非常に美しいのですけれど、翌日になると欠けてしまって非常にさみしいと。なのでその前日のお月さま、14日のお月さまは目で見てほぼまん丸で、かつあした満月になろうとしているエネルギーに満ちあふれている、そういったところが美しいとおもう考え方なんです。

それはスポーツの選手にも少し係るのではと思っていて、やはり大きな目標を掲げながら戦っているアスリートの方たちが大きな目標にむかって努力したり自分を改善したりスランプにぶつかったり向かっていく姿も非常に美しくて、やっぱりがんばっている人がたくさんいてスポーツの世界ではたったひとりしか1番になれないという非常に現実的な世界だと思うけれど、ただそれにむかって努力していく過程ですとか仲間とかそういったことがこれからすごく大切になっていくのではと感じています。

為末大氏 

深い概念ですよね。

後編につづく