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【特別企画】中尾哲彰先生インタビュー

 この度、ギャラリーきほうオンライショップでは、 令和2年4月7日から5月31日まで銀河釉「中尾哲彰 作陶展」を開催いたします。新型コロナウイルスの影響で、ギャラリーでの展示は延期となってしまいましたが、インターネットを通して中尾哲彰先生の厳選された作品を御覧いただくことが出来ます。見る者の心を魅了する美しい作品は、今まさに我々人類が求めている「希望と癒し」の世界です。今回の個展に先立ち、中尾哲彰先生にインタビューをさせていただきました。
 心休まらない日々が続いておりますが、中尾先生の美しい作品を通して癒しのひとときをお楽しみいただければ幸いと存じ上げます。

▼ギャラリーきほうオンラインショップ「中尾哲彰作陶展」
https://www.enshu-kiho.com/?mode=grp&gid=2036087

中尾哲彰先生インタビュー

Q.今回の展示会のについてコンセプトをお聞かせください。

A.混沌を超えて、新しい時代へ

Q.昨年ギャラリーきほうで個展を開催して1年が経ちます、1年間の活動で印象に残る出来事があればお聞かせください。

A.昨年は、初めての場所での個展が多く、銀河釉の作品を多くの方々に見ていただくことができました。11月には、ローマ教皇が来日された際に、長崎の「日本二十六聖人記念館」に「銀河のオデッセイ」を展示していただくという栄誉をいただきました。長年、明日への希望、武器なき世界への願いを込めて創作してきた銀河釉ですが、その銀河釉の想いが通じたのだと思います。フランシスコ教皇の核廃絶へのメッセージが込められた祈りと共に、銀河釉の想いが地球を包み込み、宇宙へ拡がることが、見果てぬ夢です。

Q.先生は世界で評価され数々の賞を受けていますが、世界と日本のアートシーンにおいて、人々のアートに対する接し方など違いがあればお聞かせください。

A.ヨーロッパのアートは15世紀にルネッサンスとして開花しましたが、それまであったヨーロッパ世界にイスラム世界、ギリシャ、ローマ世界が衝突して生じたものです。キリスト教を音楽や彫刻、文学などに託して表現しようとした文化でした。ですから、キリスト教の変化と共に、西欧のアートの世界は変化していきますが、神学、哲学の柱を持っていたことによる思想の深みがあります。これに対して日本のアートは、ゆるぎないオリジナルなものが根本にあるのではなく、有史以来の絶え間ない海外からの文化の流入を受け入れながらも、全くの模倣に終わることなく、創意、工夫によって独特の変化・成長をしてきた文化です。日本の四季折々の変化、自然を愛でる心情、それによって審美眼を鍛えて来たのが日本のアートだと思います。

Q.話は変わり、茶陶について質問したいと思います。前回のインタビューで「綺麗さび」の茶道具を作る上で大切にしていることを伺いました。今回は、もう少し踏み込んで「綺麗さび」の要素ともなっている「遠州好み」について伺いたいと思います。庭園、建築、茶の湯の世界において、「遠州好み」という云われる美意識があります。400年に渡り、今も尚日本文化として人々に受け継がれています。宗実家元より茶陶の指導を受けた中尾先生の作品にも、「遠州好み」と云われる特徴を随所に盛り込んでいると思いますが、「遠州好み」をどのように具象化しているかお聞かせください。

A.伝統的な日本の美意識「わび・さび」中心の美学から新しい時代への挑戦という意味での「遠州好み」は、更に私の銀河釉の作品に於いても進化しているものと考えます。今回の茶碗「春茜銀河」「雷鳴銀河」などは、銀河釉の新しい表現であり、世界へ向けての「綺麗さび」になりうると考えています。また、洗練されたエレガントな形を作るために無限にある曲線の中から一つの線を選び出し、削り、仕上げる。この集中した作業の結晶が、瓢水指、宋代平形茶碗の緊張感のある形に現れていると思います。

雷鳴銀河

Q.前回のインタビューで、「小堀宗実家元に出会ってお茶の考え方や歴史を研究し、学びました。」と仰いました。研究熱心な先生のことですから、沢山の道具を見て触れる機会もあると思います。茶道具との出会いで、発見や感動、印象的な出来事があればお聞かせください。

A.まだお茶についての知識がない若い頃、志野茶碗の国宝「卯花墻」を間近に見た時、その端正な形と柔らかな釉調に感動しました。

Q.茶道具以外にも、世界の美術品で好きなものがあればお聞かせください。

A.ミケランジェロのロンダニーニのピエタが、人類史の遺産だと思っています。

Q.お茶会やお茶事に参加なさった経験もあると思いますが、お茶のすばらしさや面白さ、何か体験談があれば教えてください。

A.遠州流のお茶会は年齢、社会的立場、性別を超えて、豊かな環境で開催されるため、心身共に洗われる思いがありますが、初めての茶席では、非常に緊張したことを覚えています。しかし、次第に和み、とても豊かな時間の流れを感じました。そして、小堀宗実家元に出会ってお茶の歴史、流派の違いを学んでいくうちに、伝統を捉えながら新しい時代へ挑戦してゆく「遠州流」の「綺麗さび」が唯一、お茶の哲学を世界へ伝えていくのではないかと考えるようになりました。「銀河釉」でこの「綺麗さび」の美意識を表現し、世界へ伝えることが、私の使命だと思っています。

Q.通り病が流行っております。その影響でお茶会が中止になったり、人と人とが交わる活動が出来なくなってきています。経済活動も制約され、困っている人が沢山います。前回のインタビューで「銀河釉はもともと悩んでいる人、沈んでいる人、体が思うように動かない人、弱者に対する希望、癒しをするために作ったので、悩んだり、苦しんだりした時に私の作った茶道具を使ってお茶を点てることで、少しでも元気になってくだされば、私の役割は果たしたと思います。」と仰っておりました。今まさに「希望、癒し」が必要とされており、その役割は大きいと思います。先生の今後の活動をお聞かせください。

A.今、猛威を振るう新型コロナウイルスは、多くの人々を窮地に陥れ、人類への試練ですが、これに打ち勝つために人々はまた、知恵や情報を共有し、協力しなければ生き延びれないことも学んでいます。悲しみと苦しみを乗り越えて、人類が新しい共同体を作り上げるきっかけとなるように、私もまた、銀河釉に込めた想い「明日への希望、他者への愛」がひとりでも多くのひとに届く事を願って、今後も作陶を続けたいと思っています。

※ 4月7日から予定しておりました「中尾哲彰 作陶展」につきましては、今回オンラインショップのみの開催とし、ギャラリーでの展示は延期とさせていただきます。 ご迷惑をお掛けいたしますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

▼ギャラリーきほうオンラインショップ「中尾哲彰作陶展」
https://www.enshu-kiho.com/?mode=grp&gid=2036087

中尾哲彰作陶展

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