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【特別企画】中尾哲彰先生インタビュー

 平成31年4月2日~8日、ギャラリーきほうにて開催されました「中尾哲彰作陶展」では多くのお客様にご来店を賜り誠に有難うございました。

 この度ご都合がつかずご来店いただけなかったお客様のために、インターネットを通して中尾哲彰先生の作品を御覧いただきたく「オンライン展」を開催する運びとなりました。

 ギャラリーきほうオンラインショップでは、中尾哲彰先生の厳選された作品を鑑賞陶器から茶道具、日常使える食器まで多数取り揃えております。優しい若葉をイメージさせる「春銀河」、 濃い夏の夜空に星をちりばめたような「夏銀河」、 秋の装いを感じる「秋銀河」、雪や霜の白や銀が織り成す「冬銀河」、 濃い緑色や銀、茶など多彩な色合いの「睦月銀河」、 5つの色合いは、無数の星が輝く宇宙の広がりを連想させます。 他ではまず見ることのない、この煌きこそが「銀河釉」(ぎんがゆう)の魅力です。

 2003年には、「フランス・パリ・美の革命展INルーブル」の陶芸部門でグランプリにあたるプリ・デ・リオン(ライオンの門賞)と同時に平和のメッセージが高いとして、トリコロール芸術平和賞に輝きました。中尾先生の作品は、 中国、イタリア、スペイン、フランスをはじめ、世界の国々から高く評価されています。

 ギャラリーきほうオンライン展開催にあたり、特別企画として中尾哲彰先生にインタビューしました。オンラインショップの作品と共にご覧いただければ幸いと思います。

中尾哲彰作陶オンライン展


中尾哲彰先生にインタビュー

Q.今回の展覧会について、テーマや思いをお聞かせ願います。

A.小堀宗実家元に出会ってお茶の考え方や歴史を研究し、学びました。 ギャラリーきほうでの個展は、 それを発表する一つの過程だと思っております。作品を皆さまに御覧いただき、ご評価いただければと願っております。

Q.先生の作品は鑑賞陶器が多いですが、こうして茶道具の制作にも挑戦されています。茶道具を作りはじめたのはいつ頃からでしょうか?また、きっかけをお聞かせ願います。

A.陶芸家を志したとき、日本独自の焼物としてお茶道具が目に入りました。お茶道具を作るために、お茶碗や水指をただ形だけ作ったのでは無理だといろんな方より言われ、ある方より茶陶の指導をいただくため、小堀宗実家元をご紹介いただきました。

Q.宗実家元と出会って、「わび・さび」の精神に、美しさ、明るさ、豊かさを加え、誰からも美しいと云われる客観性の美、調和の美、小堀遠州の『綺麗さび』を知ったわけですが、先生にとって「小堀遠州」とはどんな存在でしょうか。また「綺麗さび」の茶道具を作る上で大切にしていることをお聞かせ願います。

A.小堀遠州は一つの時代の転換期に位置した人で、利休の考え方を一番に継承している人だと思います。利休は、書院と草庵のお茶を一つに統一しました。そしてヨーロッパの宣教師との出会いがあり、今までになかった濃茶の回し飲みを生み出しました。これはキリスト教の血を一緒に飲む儀式、ワインの回し飲みを利休が茶道に取り入れたのだと思います。そうした事で、利休はキリスト教のヒューマニズムを日本人に伝えたかったと思います。小堀遠州も、自らが一番面白いと思う物を前触れ的に使って、新しい時代の予兆を示してくれた人だと思います。宗実家元も同じような考えをお持ちなので、「綺麗さび」という価値観に自らの身を置き、新しい時代の流れを敏感に先取りし、皆様に伝えていく、そういう美学を茶道具を通して表現でいればと思っております。

Q.茶道具を使う人に対して、こんな時に使ってほしい、こんな使い方をしてほしいなど…リクエストがあればお聞かせ願います。

A.銀河釉はもともと悩んでいる人、沈んでいる人、体が思うように動かない人、弱者に対する希望、癒しをするために作ったので、悩んだり、苦しんだりした時に、私の作った茶道具を使ってお茶を点てることで、少しでも元気になってくだされば、私の役割は果たしたと思います。

Q.最後に、来月より新元号になります、また来年はオリンピックの年ですが、今後の活動で特別なことがあればお聞かせ願います。

A.平安時代白村江の戦いから第二次世界大戦の敗戦まで約1300年間、島国という事もあり外国人が入ってきませんでしたが、最近は沢山の外国人が日本に移住してきています。それは文化の高さなんです。お茶であり、木造建築であり、日本料理であり、漆なんです。そういう文化が、今失われようとしていることに、すごく危機感を持っています。私は日本より海外から評価されていますので、今度のオリンピックで学者など沢山の人が日本に来た時、平和の文化の象徴として茶道を紹介したいと思います。

中尾哲彰作陶オンライン展

<<中尾哲彰作家略歴>>


1952佐賀県生まれ 慶応義塾大学文学部哲学科中退
1981日本現代工芸美術家協会九州会に参加し陶芸に志す
1982日本現代工芸美術展初出品にて入選
 - 日本美術展覧会(日展)初出品にて入選
1992年北京中央工芸美術学院研究室収蔵
 - 杭州南宗官窯博物館収蔵
1994デンバー美術館収蔵
1995国際美術大賞イタリー展’95 国際美術奨励賞
1997日本スペイン文化交流巡回美術展
 - セビリア市文化教育功労賞
1999日蘭交流400周年記念「日本の美術展」
 - アートユニオンオランダ賞
2000ミレニアム記念芸術アカデミー・グローバル賞
2001A.M.S.Cスペイン芸術賞
 - 第5回モナコ日本文化フェスティバル
 - モナコ公国名誉賞
2002スペイン国立プラド美術館財団会員
 - アルバ・ガッタ・ローマ芸術家協会名誉会員
2003「フランス・パリ・美の革命展INルーブル」
 - グランプリ「プリ・デ・リオン」
 - 特別賞「トリコロール芸術平和賞」
 - ルーブル美術館に永久刻印


第2回トルコ日本現代芸術世界展 2003
 - オスマン・トルコ芸術勲章

フィレンツェ栄光のネオ・ルネサンス展
 - コスタンツァ・デ・メディチ芸術褒賞

ヴァチカン聖なる創造展
2004「カンヌ国際芸術祭」
 - コートダジュール国際芸術賞

オゾン夏の大茶会に於て、遠州茶道宗家十三世家元、不傳庵小堀宗実により銀河釉茶道具を家元好として紹介される
2005万博博覧会愛地球博の会場にて
 - 小堀宗実家元プラチナ茶室と共に銀河釉茶道具を紹介される

新宿京王百貨店にて初個展

AΩ選抜協議会によりAUL
(世界に誇る、歴史に残すべき芸術家)に認定される

アジアにおける日本美術展優秀賞受賞
2006北京国際芸術博覧会(組織委員会よりの招待出品)
2007モスクワ国際芸術博覧会
(ロシア国立芸術アカデミー美術館
  ロシア国立芸術アカデミーよりの招待出品)
2008クイーンヴィクトリアギャラリー(ロンドン)にて海外初個展
Heart Art BARCELONA~日西芸術交流祭~バルセロナ陶磁芸術財団賞受賞
Bonhams(ロンドン)のオークションに初出品
2010タイ王室ソムサワリ王女芸術賜杯受賞日本ハンガリー芸術交流祭
(仏ルーブル美術館長の推薦による出品)
ハンガリー文化芸術名誉作家賞受賞福岡市美術館にて「中尾哲彰作陶展」開催
2011クリスティーズオークション
「Japanese Art & Design Including Arts of the Samurai」に出品
2012Christie’s「The Japanese Aesthetic」に出品
2013Christie’s「ASOBI」に出品
2016NHK「佐賀やきもの巡り」で銀河釉の紹介番組が放送される
中尾哲彰作陶オンライン展