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令和六年 甲辰歳 不傳庵宗実家元 新年御好茶碗

御本 切形茶碗

尾高焼楽山窯四代 清水久嗣 作

 令和六年の宗実家元の新年御好茶碗は、遠州流家元職方向栄会 清水久嗣作の「御本 切形茶碗」です。
宗実家元のご指導により、今までにない新しい作風の作品となりました。

 特に高台の削り出しについて細やかなご指導を、また胴部には力強く大胆な篦取りを施しました。乳白を帯びた柔らかな白を基調とした絶妙な調和は遠州好の「白」であり、令和六年のお題の「和」にも通じる洗練された瀟洒な趣きを醸し出す茶碗となりました。

力強い箆取り

清水久嗣さん

 尾高焼楽山窯は、鈴鹿山脈の裾野、三重県三重郡菰野町にあり、清水久嗣さんはその四代目にあたります。曾祖父の初代清水楽山は、伝統的な古陶磁、万古焼に高麗茶碗の作風を加えた焼物で高い評価を得ます。この初代のとき、楽山窯は遠州流家元職方となり、以後、遠州流と楽山窯との縁は宗明宗匠、宗慶宗匠、宗実家元と長く続いています。

前押せ

 来年の新年御好茶碗では、清水さんはこれまでの作品にはない新しい感覚の茶碗に意欲的に挑戦しました。「寸法も色もこれまでとは違うものを、お家元にご指導いただきながら、さらにそこに自分の感覚を入れさせてもらいました。初めは色の濃い土でつくり始めましたが、それではこれまでのものと変わらないというので、白い土に変えました」

粘土分が少ないぶんだけ造形しづらいという白い土を、長年の経験と技で使いこなし、口縁の切り回し、力強い箆取り、前押せといった特徴をもった、乳白色の柔らかな感じの筒茶碗が完成しました。

高台内は渦状で兜巾が立っている