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令和三年庚丑歳 宗実家元御好茶碗

信楽 切形 筆洗茶碗 六代 上田直方作

信楽は遠州公が指導した国焼の窯の一つであり、いわゆる遠州信楽と言われる茶碗や水指の名品があります。遠州信楽は漉土を用い、有名な遠州公お好みの花橘茶碗は、かけ釉のビードロが見事です。後拾遺集夏の部の、大弐高遠の詠歌である、「昔をば花橘のなかりせば 何につけてか思い出てまし」よりの御名命です。筆洗形であり高台が四方の如何にも遠州公のお好みがうかがえます。その他代表的な茶碗に水の子があります。水のこ(水粉)でむぎこがしの事を言い、茶碗の肌色のエ合からの名命か、或は白釉の小さいボツボツが水玉の様に見えるところからの名命か、いずれにしても、火色と言い肌ザワリと言い天下の名器です。

切形の代表的なものに筆洗形があり、今回お家元がその筆洗を取り入れ新しく切形を考案されました。

松の形

形は縁起の良い松の形に正面を筆洗とし釉薬は白萩釉と透明釉を掛け合わせ、茶碗内部は遠州好みの白を表し高台付近の信楽独特の赤い緋色と対象的になっております。

さらに胴部の糸目や、三ヶ所の切高台など見所の多い作品です。
また、土は信楽の山で掘った土を乾燥させそれを粉砕して、さらに二種類の
粗土のふるいで通して練った「叩き土」と同じ土を水簸して作った「漉し土」の合計三種類の土を練り合わせ通常の信楽にはない遠州信楽独特の薄作りなシャープな線を見事に再現しました。
素朴でありながら力強く、かつ繊細な意匠は遠州公が掲げた「綺麗さび」の精神が息づく茶碗となっております。

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